ChatGPT利用者の95%は今もGoogleを使う Similarweb調査とBocconi研究が示す実態
SimilarwebはChatGPT利用者の95%がGoogleも使うと発表しましたが、別の研究では検索回数とクリック数の減少が確認されています。指標ごとに何が減り何が減っていないかを整理します。
結論
ChatGPT利用者の95%は依然としてGoogleも使っており、両者は置き換えではなく併用の関係にあります。 一方で同じ期間の別の調査では、検索回数とクリック数がともに減っている数値も出ています。 「Similarwebの95%という数字だけを見て『Google離れは起きていない』と結論づける」のは、今日でやめるべき読み方です。 利用者数(オーディエンス)、検索回数(クエリ数)、クリック数は別々に動く指標であり、どれか一つで全体を語れません。
影響を受けるページ・クエリ
複数の研究に共通する傾向として、影響が大きいのは「調べて終わる」情報収集系のページです。 Bocconi大学の研究(未査読のワーキングペーパー、Comscoreの米国デスクトップ利用データ、2024年10月〜2025年7月)では、 ChatGPT Searchへのアクセスを得た世帯で、学術サイトへの参照が32.8%、辞書・事典サイトへの参照が26.5%、 開発者向けサイトへの参照が15.1%、ニュースサイトへの参照が13.4%それぞれ減少しました。 一方でマーケットプレイス(通販サイトなど)とエンターテインメント系サイトへの参照はほぼ変化がなかった、 またはゼロと見分けがつかない水準だったとされています。
日本のサイトに置き換えると、用語解説記事・比較記事・ニュース速報のようなページはこの傾向の影響を受けやすいと考えられます。 逆に、価格や在庫、店舗の営業時間、予約といった「行動を起こすための情報」を扱うページは影響が小さいと考えられます。 例えばBtoBのSaaS企業が公開している「◯◯とは」という用語解説記事は、 ChatGPTで説明を読んで終わる読者が増え、検索経由のクリックが減る可能性があります。 一方、料金プランの比較ページや問い合わせフォームへの導線は、影響を受けにくいと考えられます。
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ChatGPT Searchアクセス世帯における検索参照の増減(Bocconi大学の研究)
学術サイト
-32.8%
辞書・事典サイト
-26.5%
開発者向けサイト
-15.1%
ニュースサイト
-13.4%
マーケットプレイス・娯楽サイト
0%
ほぼ変化なし
「利用者数」「検索回数」「クリック数」は別の指標
SimilarwebはChatGPT利用者のうちGoogleのオーディエンスにも含まれる人の割合を、2025年9月時点で95%、 2026年5月時点でも95%と発表しました。生成AIプラットフォームへの訪問自体は前年比70%増えているにもかかわらずです。 Similarwebはこれを「AIは検索を置き換えるのではなく積み増している」証拠と読んでいます。 ただしこの「重複」は、月に1回でもGoogleを検索すればGoogleユーザーとしてカウントする粗い指標です。 地図やログイン、店舗の営業時間の確認だけでGoogleを使っている人も同じ「Googleユーザー」に含まれます。 1人あたりの検索回数が減っているかどうかは、この数字からは分かりません。
そこを別角度から見たのがBocconi大学の研究です。 世帯単位でChatGPT Searchアクセス後の検索回数を追跡したところ、 1週間あたりの検索回数がアクセス前平均33.51回から3.14回減り、9.4%の減少が確認されました。 この減少幅はアクセス期間が長くなるほど拡大し、20週間後には17.0%まで広がっています。 Comscoreパネル全体で見ると、Googleを使う世帯の割合は約49%で安定していた一方、 ChatGPTを使う世帯の割合は4.6%から7.9%へ拡大しました。 利用者数は保たれたまま、検索回数だけが減るという状態です。
クリック数についてはさらに別の研究があります。 Wangらの実験(arXivに2026年8月18日公開、査読前)は、 Googleを主な検索エンジンとして使う米国のChromeユーザー1,100人を対象に、 1週間すべての検索をAI Modeで行う条件を割り当てました。 基準期間には検索の0.6%しかAI Modeを使っていなかったのに対し、実験条件では94.7%がAI Mode経由になっています。 この状態で外部サイトへのクリック率は18.8ポイント減少(95%信頼区間: -22.2〜-15.3ポイント)し、 1日あたりの検索セッション数も平均4.0回から0.92回減りました。 ニュースサイトへのクリックは12.5ポイント、Redditは21.2ポイント、Wikipediaは9.9ポイント、それぞれ減っています。 Bing・DuckDuckGo・Yahooの利用は11.2ポイント増えましたが、信頼度や満足度の評価は下がりました。 この実験は7日間という短期間で、参加者も若年層・高学歴層・リベラル層に偏っており、 長期的な習慣の変化を見るには不十分だと著者自身が断っています。
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同じ『AIと検索』を測る3つの指標、見ているものが違う
Similarweb
利用者の重複(月次オーディエンス)
- ChatGPT利用者の95%がGoogleも使う
- 1人あたりの検索回数は測っていない
Bocconi大学
世帯あたりの検索回数(未査読)
- ChatGPT Searchアクセス後に検索回数が9.4%減
- 20週間後には17.0%減まで拡大
Wangら
AI Mode強制利用の実験(査読前)
- 外部クリックが18.8ポイント減
- 検索セッション自体も減少
Googleの公式発表も合わせて見ておく必要があります。 2026年5月のGoogle I/Oで、Sundar Pichai氏はAI Overviews(検索結果に表示されるAIによる要約)の月間利用者数が25億人を超え、 AI Modeも登場から1年で10億人を超えたと発表しました。Liz Reid氏も直近四半期のクエリ数が過去最高だったと述べています。
「When people use our AI-powered features in Search, they use Search more.」
「AI機能を使う人ほど検索をより多く使う」という趣旨の発言です。 ただしこの発表には基準値や個人単位の検証データが公開されておらず、外部の第三者が裏付けできる形にはなっていません。 Alphabetの決算発表(例年10月下旬)で、この「クエリ増加」の主張に基準値が付くかどうかが次の確認ポイントになります。
やること/やらなくていいこと
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AI検索の『併用』データを見たときの対応
やること
- Search Consoleでページ種別ごと(用語解説・比較・購買導線)にクリック数の推移を分けて見る
- ニュース・辞書型・開発者向けなど情報収集系ページのCTR低下を優先して監視する
- 自社のクエリ数とクリック数を四半期単位で比べ、どちらが先に動いたか記録する
やらなくていいこと
- 『ChatGPT利用者の95%がGoogleを使う』の一文だけで自社への影響なしと判断する
- 1つの実験・1つの調査の数字を根拠に、全ページのAI対策を今週中に見直す
Similarwebの95%という数字は業界でよく引用されますが、これは「利用者が重なっているか」だけを示す指標です。 クエリ数が減っているかどうかは別に確認しないと分かりません。 一方で、BocconiやWangの研究はいずれも米国のデータで、未査読または査読前の段階です。 自社サイトの実際のクリック数の増減は、これらの海外研究の数字ではなく、自社のSearch Consoleを見て判断すべきです。 情報収集系のページを持つメディアやBtoB企業は、四半期ごとにクエリ数とクリック数を分けて記録する体制だけ作れば十分です。 逆に、購買や予約が主目的の店舗集客サイトやECサイトのカテゴリページは、 今回紹介した研究では参照数がほぼ動いていないため、慌てて対応する優先度は低いと考えられます。
よくある質問
ChatGPTの利用者はGoogleを使わなくなっているのですか
Similarwebの調査では、ChatGPT利用者の95%が2025年9月から2026年5月まで一貫してGoogleのオーディエンスにも含まれており、利用者単位で見るとGoogleを使わなくなったとは言えません。ただし1人あたりの検索回数は別の研究で減少が確認されています。
検索回数が減っているという研究はどの程度信頼できますか
Bocconi大学の研究は米国のComscoreデスクトップデータに基づく未査読のワーキングペーパーで、著者自身が「記述的な結果であり因果関係を証明するものではない」と明記しています。参考にはなりますが、確定した結論として扱うべきではありません。
日本のサイト運営者は今回のデータを根拠に何かを変えるべきですか
海外の研究データそのものを根拠に施策を変える必要はありません。自社のSearch Consoleでクエリ数とクリック数を分けて記録し、情報収集系のページで先にクリックが落ちていないかを確認する体制を作ることが優先です。
Sources · 一次情報
この記事は一次情報をもとに作成し、公開前に自動検査を通しています。作成の手順と訂正の方針は運営者情報に記載しています。
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