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GEO解説Google公式19 min read

「AIにブランドを覚えさせる」施策のうち、実測データがあるのはどれか

AI検索の回答に自社名を出すための施策4つを、海外の調査データと1件ずつ照らし合わせて優先順位をつけました。いちばん確かなのは他社のページに名前を出してもらうこと。構造化データを足しても引用は増えなかった実験結果も紹介します。

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結論

AI検索の回答に自社名を出したいとき、やることは4つあります。ただし4つは効き目の裏付けがまったく違います。当サイトはSEO・GEO教科書のレッスン13を書くときに、この4つを海外の調査データと1つずつ照らし合わせました。その結果、優先順位はこうなりました。

  1. 他社のページに名前を出してもらう — 大規模な調査が2件あり、どちらも同じ方向を示しています。いちばん確かです
  2. 自分で数字を出して、引用される側になる — 研究論文の実験で効果が測られています
  3. 表記をそろえる・構造化データを入れる — 「やっても引用は増えなかった」という実験結果があります。土台として必要なだけです
  4. 定点観測する — やり方が重要です。月1回の計測では何も分かりません

作業時間が限られているなら、構造化データより先に1番をやってください。以下、その理由を1つずつ説明します。

前提:AIは答える前に、名前を挙げる会社を決めている

生成AIは、聞かれた質問をそのまま検索しません。自分で検索キーワードを組み立て直してから検索します。Googleもこの仕組み(クエリ ファンアウト)を使う場合があると説明しています。

つまり、検索キーワードを作る時点でAIが知っている会社しか候補に入りません。ここに名前が出てこなければ、自社ページがどれだけ良くても検索対象にすらなりません。ページを整えるのは、候補に入ったあとの話です。

以下の4つは、この「候補に入る」ための作業です。

1位:他社のページに名前を出してもらう

Ahrefsが75,000ブランドを調べたところ、AIによる概要への露出といちばん強く連動していたのは、他社のページに自社名が書かれている数でした。従来SEOで重視される被リンクは、それよりずっと弱い結果です。

Figure

AIによる概要でのブランド露出と、いっしょに動いた指標(Ahrefs・75,000ブランド)

他社のページに書かれた自社名

0.664

いちばん強い

自社名をリンク文字にしたリンク

0.527

自社名で検索された回数

0.392

被リンクの数

0.218

従来のSEO指標

数字は相関の強さ(1に近いほど連動が強い)。上位3つはすべて自社サイトの外側で起きることです。

レビューサイトの側からも同じ結果が出ています。Seer Interactiveが80万件を超えるAI回答(ChatGPT・Gemini・Perplexity・AIモード)を調べたところ、**レビューのページを持たない会社の被引用率は中央値1%、しっかり運用している会社は75%**でした。レビュー系サイトは、一般のウェブに次いで2番目に多く引用された情報源だったとも報告されています。

ここは注意点も書いておきます。

  • Ahrefsの数字は**「連動していた」だけで、「増やせば増える」とまでは言えません**。大きな会社は名前も露出も多いのが当たり前だからです
  • Seerの調査はTrustpilotの依頼で実施されたものです。数字そのものは差し引いて読んでください

それでも、別々に行われた2つの調査が同じ方向を指しています。「自社サイトの外に名前があるかどうか」が候補入りを左右する、というところまでは信頼していい、というのが当サイトの判断です。

2位:自分で数字を出して、引用される側になる

GEOという言葉の元になった研究論文(KDD 2024採録)では、10,000件の質問を使って、ページの書き方をどう変えると生成AIの回答に載りやすくなるかを測っています。効果が大きかったのは次の3つでした。

  • 引用を足す(最大41%)
  • 統計データを足す(約32%)
  • 出典を明記する(約28%)

一方、キーワードの詰め込みはほとんど効果がありませんでした。

そして自分でデータを出すことには、もう1つ効果があります。他社が引用するたびに、1位で挙げた「他社のページに書かれた自社名」が1件増えるということです。賞や大きなメディア露出に手が届かない小さなサイトでも、自力で1位の作業を進められる方法がこれです。

数字を出すときは、次の3つを必ず添えてください。どれかが欠けると引用元として扱われません。

添えるもの書き方の例
いつ調べたか「2026年8月時点」
何件を対象にしたか「公式ドキュメントで確認できた14件のうち」
どうやって調べたか「各社の公式ドキュメントを目視で確認」

当サイトのChatGPTのfan-outクエリを実ログで解析した記事は、この形で書いています。

なお、この研究論文の測定は研究用の環境で行われたものです。ChatGPTなど各社の実サービスがまったく同じ動きをする保証はありません。

3位:表記をそろえる・構造化データを入れる

ここが今回いちばん評価を下げた項目です。構造化データを入れればAI検索での引用が増える、という説明を見かけますが、実験はそれを否定しています。

Ahrefsは、JSON-LDを新しく追加した1,885ページを追跡しました。比較用に、追加前の被引用数が近い約4,000ページも同時に観察しています。追加の前後30日で引用がどう変わったかが下の図です。

Figure

構造化データ(JSON-LD)を追加したあと、引用は増えたか(Ahrefs)

AIによる概要(AI Overviews)

-4.6%

わずかに減少

AIモード(AI Mode)

+2.4%

ブレと区別できない

ChatGPT

+2.2%

ブレと区別できない

1,885ページの追加前後30日を比較。増えているように見える2つも、統計的にはただのブレと区別がつきません。

「AIに引用されたページは構造化データを入れている率が高い」というのは事実です(同社が600万URLを調べたところ約3倍)。ただしこれは順序が逆です。構造化データを入れるようなサイトは、そもそもコンテンツも整備状況も良い。だから引用される、というのがこの調査の結論です。

Googleも、AI機能に表示されるために特別なマークアップや新しいファイルを作る必要はないと明記しています。

では入れなくていいのかというと、そうではありません。位置づけが違うだけです。

  • やれば引用が増えるレバー … 実験で否定されている
  • 無いと困る土台 … 表記が割れたままだと、1つの会社が複数の弱い候補に分かれてしまう

ただし後者も理屈の上での話で、日本語の表記ゆれを対象に測った公開データは見つかっていません。「一度やって終わらせる作業」と考え、効果測定の対象にはしないでください。

4位:測り方 — 月1回の計測では何も分からない

施策より先に、測り方が間違っていることがあります。ザンクトガレン大学の研究チームは、2026年1月24日から3月20日まで、ChatGPT・Perplexity・Gemini・AIモードを継続的に計測しました。

Figure

同じ質問を投げ直すと、答えはどれくらい変わるか

32〜43%

引用元が一致する割合

同じ瞬間に同じ質問を投げ直した場合

1日7回

信用できる計測回数の下限

1つの質問あたり

2〜4週間

傾向を読むのに必要な期間

1回ずつではなく期間どうしで比べる

ザンクトガレン大学の継続計測(4業種・約45日)。arXiv:2604.07585

同じ瞬間に同じ質問を投げても、引用元が一致するのは32〜43%しかありません。しかもこのブレの大半は、時間帯やニュースのせいではなく、AIが確率的に文章を作っていること自体が原因だと報告されています。

ここから言えることは1つです。「先月は出たのに今月は出ない」は、施策の成否とは関係ありません。 1回投げて出なかった/出た、は記録になりません。同じ質問を1日に何回も投げて、そのうち何回名前が出たかを割合で残してください。比べるのは1回ずつではなく、2〜4週間の期間どうしです。

手順

  1. 自社カテゴリの質問を3〜5本決める(例:「〇〇のおすすめは」「〇〇とは」「〇〇は何を提供していますか」)
  2. その質問を、履歴が残らない状態で1日に複数回投げる。自社名が出た回数を割合で記録する
  3. 2〜4週間を1つの期間として、記録をためる
  4. 記録と並行して、施策は1位から着手する。比較記事・レビュー記事・まとめ記事で、「カテゴリ名+自社名」が同じ文に並ぶ露出を増やす
  5. 引用される材料として、自社で取れる数字を1本公開する。調査日・件数・調べ方を必ず添える
  6. 表記統一と構造化データは、土台として一度で終わらせる。効果測定の対象にしない
  7. 2つ目の期間の記録を取り、1つ目と割合で比べる。1回ごとの上下は無視する

やること/やらなくていいこと

Figure

裏付けの強さで仕分けた、AI検索のブランド施策

やること

  • 比較・レビュー記事で「カテゴリ名+自社名」が並ぶ露出を増やす
  • 引用される材料として、自社の数字を出す(調査日・件数・調べ方つき)
  • 表記統一と構造化データは、土台として一度で終わらせる
  • 同じ質問を1日に複数回投げ、2〜4週間の期間で割合として記録する

やらなくていいこと

  • 構造化データの追加を「AI引用が増える施策」として工数を積むこと
  • 月1回の計測結果の増減を、施策の成果として報告すること
  • 自社サイトに「業界No.1」と書いて、第三者の言及の代わりにすること
  • お金を払えば載るバッジを、第三者の言及と同じものとして数えること
「やらなくていい」は無意味という意味ではありません。「引用が増える施策として工数を積むな」という意味です。

よくある質問

構造化データは入れなくていいのですか

入れてください。やらなくていいのは「AI検索の引用を増やすため」という位置づけのほうです。Ahrefsの実験では、JSON-LDを追加した1,885ページで引用の意味のある増加は確認されませんでした。Googleも、AI機能に表示されるために特別なマークアップは必要ないと明記しています。リッチリザルトなど本来の目的は別にあるので、そちらの理由で実装してください。

他社に名前を出してもらうのが強いなら、掲載枠を買えばいいのですか

いいえ。Ahrefsの結果は「連動していた」までで、買えば増えるとは示していません。加えて、お金を払えば載る掲載枠は、自社が書いた文章がそのまま載っているだけのことが多く、その場合は自社サイトに書いた主張と変わりません。有料かどうかではなく、第三者が自分の言葉で書いているかどうかで判断してください。

AI検索での露出は、どのくらいの頻度で測ればいいですか

1つの質問につき1日に複数回です。ザンクトガレン大学の研究では、同じ瞬間に同じ質問を投げ直しても引用元が一致するのは32〜43%でした。信用できるのは1日7回以上の計測から、傾向を読むには2〜4週間が必要だとされています。月1回の計測は、施策の効果ではなくAIのブレを見ていることになります。

この記事の数字は、日本語のサイトにもあてはまりますか

今回の調査はすべて英語圏のもので、日本語の表記ゆれや日本語での質問を対象にしたものではありません。方向(他社の言及が強い、構造化データの追加では増えない、1回の計測は当てにならない)は日本語でも変わりにくいと当サイトは考えていますが、数字そのものを自社にあてはめないでください。手順のとおり自社カテゴリで記録を取り、自分のデータで判断するのが唯一の確認方法です。

Sources · 一次情報

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