SEO GEO Lab

SEO・GEO教科書 · Lesson 09

実例:検索とAIに強いサイトが実際にやったこと

Google 検索セントラルの成功事例、web.devのケーススタディ、GEO論文から、施策と結果の数値が同じ文書で公開されている事例だけを集めました。楽天レシピ・Saramin・Eventbrite・Yahoo! JAPANニュース・redBusなどの実施内容を、共通パターンとともに整理します。

Level 3Lesson 09 / 1017

公開されている実例から共通パターンを取り出し、自分のサイトで次に手を付ける場所を決められるようになる。

このレッスンで扱うこと

  • 構造化データ・Core Web Vitals・テクニカル基礎・生成AIの4領域の実例
  • 各社が「実際に何をしたか」と「報告された数値」
  • 11件に共通する3つのパターン
  • 他社の数値を自社に当てはめるときの注意点

この一覧に載せる条件

ここに載せているのは、実施した施策と結果の数値が同じ一次情報の中で公開されている事例だけです。施策と数値が別々の情報源にある、数値の出どころが不明、運営者本人の発表ではない、といった事例は、因果関係を確認できないため除いています。

Figure

この一覧の内訳

11件

収録している事例

施策と数値が同じ文書で公開されているもの

3件

日本のサイト

楽天レシピ・Yahoo! JAPANニュース・Rakuten 24

4領域

テクニカル / 構造化データ / Core Web Vitals / 生成AI

レッスン04・07で扱った作業に対応

条件内容
出典が一次情報であるサイト運営者本人の発表か、Google(検索セントラルの成功事例・web.devのケーススタディ)、または査読を経た論文
施策と数値が同じ文書にある「何をしたか」と「どうなったか」が同じページに書かれている
数値を言い換えない出典の表現をそのまま使い、丸めたり単位を変換したりしない

件数は多くありません。確認できることを優先した結果です。SNSやブログで見かける「〇倍になった」という話の多くは、 この3条件のどれかを満たしていません。

テクニカルの基礎を直した例

クロールエラーの解消、重複URLの統合、不要なmetaタグの削除といった基礎的な作業です。地味ですが、公開されている事例では、この段階で流入が動いています。

テクニカルの基礎

Saramin

韓国・求人サイト

やったこと

不要なキーワードを並べたmetaタグを削除し、canonicalで重複ページを1本化。そのうえでJobPosting(求人)・パンくず・想定年収の構造化データを追加した。構造化データテストツール、モバイルフレンドリーテスト、PageSpeed Insightsで継続的に監査している。

報告された結果

  • 2019年9月の採用シーズンで、Google検索からの自然流入が前年同月比102%増
  • 自然検索経由の新規会員登録が93%増
  • 自然検索からのコンバージョン率が前年比9%増
  • 2015年にクロールエラーを解消しただけの段階で、流入が15%増

出典: Saramin increases organic Search traffic 2X by investing in SEOGoogle 検索セントラル 成功事例

数値は各社の環境・時期・同時に実施した他の施策を含んだ結果です。同じ施策で同じ結果が出ることを示すものではありません。

Saraminで注目すべきなのは順番です。2015年にクロールエラーを解消した段階で流入が15%増え、 そのうえでmetaタグの整理・canonicalによる重複統合・構造化データの追加が続き、2019年の102%増につながっています。 構造化データから始めていたら、この結果にはなっていません。作業の順序はレッスン04で扱ったとおりです。

構造化データを入れた例

ページの内容を機械可読な形で併記する作業です。順位を直接上げる設定ではありませんが、検索結果での表示のされ方が変わることで、クリックと流入が動いた例が複数公開されています。

構造化データ

楽天レシピ

日本・レシピ投稿(月間アクティブ1,500万人)

やったこと

レシピの構造化データを2012年から導入し、2014年に対象を広げた。2017年にはGoogle検索チームと共同でマークアップを見直し、CMS側で対応して2週間で全ページに反映。構造化データテストツールで検証している。

報告された結果

  • 検索エンジンからの全ページへの流入が2.7倍
  • 平均セッション時間が従来の1.5倍

出典: Rakuten Recipe increases time on site 1.5X with structured dataGoogle 検索セントラル 成功事例

構造化データ

Eventbrite

米国・イベントチケット

やったこと

Googleのイベント向けドキュメントに沿って、公開している全イベントページにEvent構造化データを実装した。基本テンプレートを1つ作り、以降は微調整だけで運用している。実装後は構造化データテストツールで正しさを確認。

報告された結果

  • 実装翌月、イベントページへのGoogle検索流入が、例年の前年比成長率に対しておよそ100%増(Google Analytics計測)

出典: Eventbrite boosts traffic 100% with event structured dataGoogle 検索セントラル 成功事例

構造化データ

MX Player

インド・動画配信

やったこと

動画ページに構造化データを付け、動画サイトマップを高い頻度で送信するようにした。Googleが公開している動画のベストプラクティスに合わせ、ウェブ検索・動画タブ・Discoverの各面に載る条件を満たした。

報告された結果

  • 6か月でGoogleからの自然流入が3倍
  • 自然検索セッションあたりの動画ページビューが100%増

出典: MX Player boosts organic traffic 3X by maximizing video discoverabilityGoogle 検索セントラル 成功事例

数値は各社の環境・時期・同時に実施した他の施策を含んだ結果です。同じ施策で同じ結果が出ることを示すものではありません。

3件に共通しているのは、テンプレートで一括して出している点です。 楽天レシピはCMS側で対応して2週間で全ページに反映し、Eventbriteは基本テンプレートを1つ作って以降は微調整だけ、 MX Playerは動画サイトマップの送信とセットで運用しています。1ページずつ手で書く運用では、この規模になりません。

Core Web Vitalsを改善した例

LCP・INP・CLSの改善が事業指標にどう表れたかの事例です。web.devがまとめている一覧には他にも多数掲載されており、ここではそのうち施策の内容まで公開されているものを中心に挙げています。

Core Web Vitals

Yahoo! JAPAN ニュース

日本・ニュースメディア

やったこと

CLS(読み込み中のレイアウトのずれ)を改善し、ラボデータで約0.2から0にした。

報告された結果

  • Search Consoleで「不良」と判定されたURLが98%減
  • セッションあたりのページビューが15.1%増
  • セッション時間が13.3%長くなった
  • 直帰率が1.72ポイント減

出典: Yahoo! JAPAN News improved CLS by 0.2 and increased page views per session by 15%web.dev(Google)ケーススタディ

Core Web Vitals

Rakuten 24

日本・日用品EC

やったこと

Core Web Vitalsに投資し、CLSを92.72%、TTFBを18.03%、FCPを8.45%、FIDを7.95%改善した。改善版と従来ページでA/Bテストを行い、事業指標の差を測った。

報告された結果

  • 訪問者あたりの収益が53.37%増
  • コンバージョン率が33.13%増
  • 平均注文額が15.20%増
  • 離脱率が35.12%減

出典: How Rakuten 24's investment in Core Web Vitals increased revenue per visitor by 53.37% and conversion rate by 33.13%web.dev(Google)ケーススタディ

Core Web Vitals

Nuvemshop

ブラジル・ECプラットフォーム(18万店舗超)

やったこと

ブラウザがLCP要素を取り違えていた原因を3つ潰した。ファーストビューの画像から loading="lazy" を外し、LCP画像に fetchpriority="high" を付け、先頭セクションのCSSトランジションを削除した。

報告された結果

  • LCPが「良好」の割合が57%から96%へ(68%改善)
  • Core Web Vitalsの合格率が48%から72%へ
  • Google自然検索のモバイルで、コンバージョン率(セッション→購入)が8.9%増
  • カート到達率(セッション→カート)が8.4%増

出典: How Nuvemshop's image prioritization strategy led to a 68% improvement in LCP and 8.9% more conversionsweb.dev(Google)ケーススタディ

Core Web Vitals

redBus

インド・バス予約

やったこと

検索結果の1リクエストあたりの取得件数を30件から10件に減らし、入力欄の状態をコンポーネント内で持ってblur時だけ全体に同期するようにした。INP(操作への応答性)に絞って改善している。

報告された結果

  • 検索結果ページのINPが870〜900msから350〜370msへ
  • 入力欄の操作でINPが72%改善
  • 全体の売上が7%増

出典: How redBus improved their INP by 72% and increased sales by 7%web.dev(Google)ケーススタディ

Core Web Vitals

Vodafone(イタリア)

イタリア・通信

やったこと

LCP(主要なコンテンツが表示されるまでの時間)を31%改善した。

報告された結果

  • 売上が8%増

出典: The business impact of Core Web Vitalsweb.dev(Google)

Core Web Vitals

Nykaa

インド・化粧品EC

やったこと

LCPを40%改善した。

報告された結果

  • tier2・tier3都市からの自然検索流入が28%増

出典: The business impact of Core Web Vitalsweb.dev(Google)

数値は各社の環境・時期・同時に実施した他の施策を含んだ結果です。同じ施策で同じ結果が出ることを示すものではありません。

この領域で共通しているのは、1つの指標に絞っていることです。redBusはINPだけ、 Nykaaは LCPだけ、Yahoo! JAPANニュースはCLSだけを扱っています。3指標を同時に追った事例は見当たりません。[出典: web.dev「The business impact of Core Web Vitals」]

生成AIでの引用を測った例

生成AIの回答内での可視性については、企業の事例よりも、測定方法が公開されている研究のほうが参考になります。GEOという用語の初出であるarXiv論文(KDD 2024採録)が、9通りの書き換えを比較しています。

生成AIでの引用

GEO論文(GEO-bench)

研究・生成AI検索の可視性

やったこと

10,000件のクエリ(学習8,000・検証1,000・テスト1,000)からなるベンチマークGEO-benchを作り、9通りの書き換えが生成AIの回答内での可視性をどう変えるかを測定した。KDD 2024採録。

報告された結果

  • 引用の追加(Quotation Addition)で可視性が最大41%向上
  • 統計の追加(Statistics Addition)で約32%向上
  • 文章の読みやすさの改善(Fluency Optimization)で約29%向上
  • 出典の明示(Cite Sources)で約28%向上
  • キーワードの詰め込み(Keyword Stuffing)はほとんど効果がない

出典: GEO: Generative Engine Optimization(arXiv:2311.09735)Aggarwal ほか(KDD 2024)

研究環境での測定値です。生成AI各社のモデルは継続的に更新されるため、現時点の挙動が同じである保証はありません。

読み取れるのは、上位が引用・統計・出典という情報の裏付けに関わる要素で、 最下位がキーワードの詰め込みという従来型のテクニックだという点です。 生成AI向けの作業は、記述テクニックではなく内容の裏付けを増やす作業に寄っています。[出典: GEO: Generative Engine Optimization]具体的な書き方はレッスン05にまとめています。

11件に共通する3つのパターン

個別の数値ではなく、11件に共通している進め方を取り出すと、次の3つになります。自分のサイトで欠けているものがあれば、そこが次に手を付ける場所です。

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公開されている事例に共通する進め方

③ 1つの指標に絞る

測って畳む

redBusはINPだけ、NykaaはLCPだけ。複数を同時に追った事例は無い。効果の判定が可能な単位に切る。

② テンプレート単位で直す

一括で反映

楽天レシピはCMSで2週間、Eventbriteは基本テンプレート1つ、Nuvemshopは18万店舗へ一括展開。1ページずつ直す運用にはしていない。

① 土台から順に積む

順番を守る

Saraminはクロールエラーの解消が先で、構造化データは後。技術的に読める状態を作ってから、表示のされ方に手を入れている。

この3点は当サイトが11件から取り出した整理です。各社が「この3原則で進めた」と述べているわけではありません。

パターン自分のサイトで確認すること欠けている場合に読むレッスン
① 土台から順に積むインデックス登録・robots.txt・canonicalの確認が済んでいるかレッスン02
② テンプレート単位で直す構造化データやメタ情報が、テンプレートから一括で出力されているかレッスン04
③ 1つの指標に絞るいま追いかけている指標が1つに決まっているかレッスン08

自社に当てはめるときの注意

事例から取り出すべきなのは倍率ではなく、「どの種類の作業が、どの指標に効いた例があるか」という対応関係です。数値をそのまま自社の目標にすると、ほぼ確実に外れます。

Figure

事例の使い方

やること

  • 自分のサイトに近い業種・規模の事例を選び、施策の内容を読む
  • その事例が「何を最初にやったか」を見る(順番が最も再現性が高い)
  • 自社の目標値は、自社の現状値を基準に設定する
  • 出典に直接あたり、前提条件(実施時期・対象範囲)を確認する

やらなくていいこと

  • 他社の倍率をそのまま自社の目標にする
  • 同時に実施された他の施策を無視して、1つの施策の効果だと考える
  • 業種も規模も違う事例の数値を根拠に、施策の優先順位を決める
  • 出典を確認せず、まとめ記事に書かれた数値だけを引用する

各事例の数値は、その企業のサイト規模・業種・実施時期・同時に行った他の施策を含んだ結果です。 また、Googleは要件とベストプラクティスを満たしていてもクロール・インデックス登録・掲載を保証しないと 明記しており、効果が出るまでの期間も示していません。[出典: Google 検索の基本事項]

最後のレッスンでは、順位や流入が落ちたときに何をするかを扱います。 伸ばす作業と同じくらい、落ちたときの手順を決めておくことが運用では効きます。

到達チェックリスト

次の項目を自分のサイトで確認できたら、このレッスンは終わりです。1つでも「まだ」がある場合は、次のレッスンに進む前にそこを埋めてください。

  • 自分のサイトに最も近い業種・規模の事例を1件選んだ
  • その事例が実施した施策のうち、自分のサイトで未実施のものを書き出した
  • 共通パターン3つのうち、自分のサイトで欠けているものを特定した
  • 他社の数値をそのまま目標値にしていない

よくある質問

なぜ事例が11件しかないのですか

「実施した施策」と「結果の数値」が同じ一次情報の中で公開されている事例だけを載せているためです。施策と数値が別々の情報源にある、数値の出どころが不明、運営者本人の発表ではない、といった事例は、因果関係を確認できないので除いています。件数より、確認できることを優先しています。

同じ施策をすれば同じ結果が出ますか

出ません。各事例の数値は、その企業のサイト規模・業種・実施時期・同時に行った他の施策を含んだ結果です。ここから読み取るべきは倍率ではなく、「どの種類の作業が、どの指標に効いた例があるか」という対応関係です。自社の目標値は、自社の現状値を基準に設定してください。

日本のサイトの事例はありますか

あります。楽天レシピ(レシピの構造化データで検索流入2.7倍)、Yahoo! JAPANニュース(CLS改善でセッションあたりPV15.1%増)、Rakuten 24(Core Web Vitalsへの投資で訪問者あたり収益53.37%増)の3件が、Googleが公開している日本サイトの事例です。

Sources · 一次情報