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AI時代に比較メディアは死ぬ。第三者メディアは候補に入っても読まれて捨てられる

ChatGPTにクレジットカードの質問を5本投げ、会話JSONの候補236URLと引用23件を突き合わせました。引用された9ドメインはすべて公式サイトか公的機関で、価格.comやマイベストなどの比較メディアは候補に並びながら引用ゼロでした。

結論

ChatGPTに日本語でクレジットカードの質問を5本投げ、会話JSONを1件ずつ読みました。検索で集まった候補は236URL・44ドメイン、回答に引用されたのは23件です。

引用された9ドメインは、すべてカード会社の公式サイトか公的機関でした。

  • 引用あり(9ドメイン): jcb.co.jp / smbc-card.com / rakuten-card.co.jp / paypay-card.co.jp / paypay.ne.jp / recruit-card.jp / docomo.ne.jp / jal.co.jp / kokusen.go.jp
  • 引用ゼロ: 価格.com・マイベスト・オリコン・クレカMAP・CardLens・マイナビ。いずれも候補一覧には入っています

「クレジットカードの比較ランキングで人気なのはどれ?」と、比較そのものを聞いた質問でも同じでした。比較メディアは候補には並び、回答には一度も出てきません。同じカテゴリを2026年8月31日に別モデルで取ったとき(記事30)も、比較メディア14件が候補に入って引用ゼロでした。

これは1アカウント・日本語・クレジットカード・1日ぶんの観測です。「こうなるものだ」ではなく「この条件でこうだった」として読んでください。

Figure

候補に入った第三者メディアの行き先

236 → 23

候補URL → 引用

44ドメイン中9ドメイン

0

比較メディア6社の引用

候補には入っている

9/9

引用ドメインが公式・公的機関

カード会社・国民生活センター

2026-09-11、ChatGPT(ログ上のモデル gpt-5-6)、日本語の質問5本・5会話

何を測ったか

  • 対象: ChatGPT(ログイン状態、デスクトップWeb、新規チャット)。メモリ無効、カスタム指示は空
  • モデル: 画面上は自動選択で、会話JSONには gpt-5-6 と記録されていました
  • 日付: 2026年9月11日。5つの質問を1回ずつ、同じ日に実行
  • 記録: 開発者ツールのNetworkタブから conversation のレスポンスJSONを1会話1ファイルで保存
  • 数えたもの: 検索結果として候補一覧に入ったURL(236件)と、回答に紐づいた引用(23件)

質問は次の5本です。言い方を変えると候補の顔ぶれが変わるため、意図の違う型を混ぜました。

ID質問候補引用検索クエリ
K1クレジットカードのおすすめを教えて4734
K2年会費無料のクレジットカードでおすすめは?7367
K3還元率1%以上・年会費無料・ネット通販でよく使う人向けのクレジットカードを3つ挙げて4554
K4クレジットカードの比較ランキングで人気なのはどれ?5965
K5クレジットカードの年会費が高くて見直したい1231

投げられた検索クエリ21本

5会話で実行された検索クエリは21本です。すべて会話JSONの search_model_queries に入っていて、search_queries は0件でした。全文をそのまま載せます。

K1「クレジットカードのおすすめを教えて」4本(検索1回)
日本 クレジットカード おすすめ 2026 年会費 還元率 三井住友カードNL 楽天カード PayPayカード JCB CARD W
三井住友カード NL 公式 年会費 ポイント還元率
楽天カード 公式 年会費 還元率
JCB CARD W 公式 年会費 還元率
K2「年会費無料のクレジットカードでおすすめは?」7本(検索2回)
[1回目]
年会費無料 クレジットカード おすすめ 三井住友カード NL 楽天カード PayPayカード JCB CARD W 公式
三井住友カード NL 年会費 永年無料 公式
楽天カード 年会費 永年無料 基本還元率 公式
PayPayカード 年会費 無料 還元率 公式
[2回目]
site:rakuten-card.co.jp 楽天カード 年会費 永年無料 還元率 1% 公式
site:jcb.co.jp JCB CARD W 年会費 永年無料 39歳以下 還元率 公式
site:recruit-card.jp リクルートカード 年会費 無料 1.2% 公式
K3「還元率1%以上・年会費無料・ネット通販でよく使う人向けのクレジットカードを3つ挙げて」4本
年会費無料 還元率 1% クレジットカード 楽天カード PayPayカード リクルートカード 2026
楽天カード 基本還元率 年会費無料 楽天市場 公式
PayPayカード 基本還元率 年会費無料 Yahooショッピング 公式
リクルートカード 還元率 1.2 年会費無料 公式
K4「クレジットカードの比較ランキングで人気なのはどれ?」5本
クレジットカード 人気 ランキング 2026 日本 年会費 還元率
クレジットカード 利用実態 人気 JCB 楽天 三井住友 2026
三井住友カード NL 公式 年会費 還元率
楽天カード 公式 年会費 還元率
JCB CARD W 公式 年会費 還元率
K5「クレジットカードの年会費が高くて見直したい」1本
クレジットカード 年会費 見直し 解約 ダウングレード 注意点 日本 2026

この21本を数えると、次のようになります。

  • 21本のうち16本に「公式」が入っています。ブランド名を書いたクエリは、ほぼ公式サイトを狙う形です
  • ユーザーが書いていないブランド名が1本目から入っていたのは、K1・K2・K3の3つです。K4は2本目から、K5は最後までブランド名が出ません
  • site: を使ったのはK2の2回目の3本だけです。リクルートカードはそこで初めて出てきます。1回目の結果を見てから候補が増えたということです
  • K4は「人気ランキング」を聞かれても、3〜5本目はブランド指名に落ちています。うち楽天カードとJCB CARD Wの2本は、K1のクエリと文字列が完全に一致しました(三井住友の1本は「ポイント還元率」が「還元率」に変わるだけの差です)

比較メディアの名前は、21本のどこにも出てきません。検索されているのは商品名と公式サイトです。

「候補に入る」と「読まれる」は同じではない

候補一覧に入るというのは、検索結果としてURL・タイトル・スニペットがモデルに渡った状態です。記事30のログでは、ページ本文を取得するツール呼び出しが1件も記録されていませんでした。比較メディアがモデルに届けられているのは、多くの場合スニペットまでです。

そのスニペットも使われません。今回の5会話で、比較メディアのURLは候補一覧に並んだあと、回答の本文にも引用にも現れませんでした。渡ってはいるが採用されない、という落ち方です。

引用はドメイングループの上位2件から出ていた

候補一覧はドメインごとのグループにまとまっています。64グループすべてがドメイン名を持ち、qa.smbc-card.com は smbc-card.com に、dcard.docomo.ne.jp は docomo.ne.jp に畳まれていました(29件)。

グループ内の並び順と引用の関係は次のとおりです。

グループ内順位候補引用
1位6414
2位294
3位211
4位160
5位140
6位以降924

さらに、引用は2種類に分かれました。回答の主張に直接ひもづく主引用(回答完成後の候補一覧から消えるもの)と、末尾にまとめて並ぶ補助的な引用です。

引用の型件数グループ内順位
主引用121位が10件・2位が2件。3位以下はゼロ
補助111〜11位に散らばる

**主引用はドメイングループの1〜2位からしか出ていません。**比較メディアは候補に入っても、公式ドメインのグループより下に置かれ、主引用の位置に届いていませんでした。

なお候補一覧はログに2回入ります。検索直後の速報版と、回答完成後の最終版です。引用23件のうち12件は最終版の一覧から消えていました。消えていたのは引用されたものだけで、引用されずに消えた候補は0件です。最終版だけを見ると引用元を取りこぼします。

検索していないドメインが推薦に出た

K4(比較ランキングを聞いた質問)は、PayPayカードとリクルートカードを推薦の表に入れ、公式サイトへリンクしました。この2ドメインは候補一覧に1件もありません。検索していないのに名前が出ています。

Suganthan Mohanadasan の調査でも、英語・別カテゴリの57会話で「取得なしで推薦されたブランド」が86件ありました。候補リストは検索する前にモデルの中でできていて、検索はその裏取りに使われている、という読み方と整合します。比較メディアの記事は、その事前の候補リストを作る材料としては効いているかもしれませんが、引用の取り合いには参加できていません。

観測された連鎖。どこで第三者メディアが外れるのか

ここまでの数字を順番に並べると、候補から引用までは5段になっていました。

Figure

候補に入ってから引用されるまでの5段

  1. 1

    1. 検索前にブランドが決まる

    候補一覧に無いカード2枚が推薦の表に出た

  2. 2

    2. 公式ドメインを site: で指名する

    決まったブランドのドメインを名指しで検索する

  3. 3

    3. 指名されたドメインは十数枚まとまって入る

    10枚以上のグループが12個・候補148件

  4. 4

    4. 主引用はグループの1〜2位から出る

    12件中1位10件・2位2件。3位以下はゼロ

  5. 5

    5. 指名されないドメインは1枚で終わる

    1枚だけのグループ35個のうち引用は2件

2026-09-11の5会話(候補236件・64グループ・引用23件)から

段ごとの根拠は次のとおりです。

  1. 検索前にブランドが決まる: K4がPayPayカードとリクルートカードを推薦したのに、両ドメインは候補一覧に1件もありません。Suganthanの調査(英語・別カテゴリ)でも取得なしの推薦が86件ありました
  2. 公式ドメインを site: で指名する: K2の2段目は site:rakuten-card.co.jp の形で、ドメインを名指しした検索が並んでいます。記事75のSolのログでも、2段目は site: にページのパスまで書く形でした
  3. 指名されたドメインは十数枚まとまって入る: 同じグループに10枚以上入ったドメインが12個あり、候補236件のうち148件をこの12グループが占めています。引用があったのはこの12グループ中9つです
  4. 主引用はグループの1〜2位から出る: 主引用12件は1位が10件・2位が2件で、3位以下はゼロでした
  5. 指名されないドメインは1枚で終わる: 候補1枚だけのグループが35個あり、引用されたのは2件だけです。第三者メディアの候補40件のうち23件が、この1枚グループでした

つまり第三者メディアの問題は「グループ内で1位を取れない」ことではありません。1枚しかないグループは、その1枚が1位です。それでも引用されないのは、モデルが裏取りのために読みに行っているのが、先に名前を決めた公式ドメインのグループだからです。ゲーム1(検索前の候補入り)で名前が出ていないドメインは、ゲーム2(引用の取り合い)の土俵に乗りません。

枚数を増やしても解決しません。枚数が多いのは site: で指名された結果であって、サイト側が動かせる変数ではないからです。

質問の言い方で候補の顔ぶれが変わる

K5(「年会費が高くて見直したい」=不満の言い方)だけは違いました。検索は1本、候補は12件で、国民生活センター・経済産業省・みずほ銀行など、カード会社以外が並んでいます。おすすめや比較を聞く言い方(K1〜K4)では候補の大半がカード会社の公式でした。

不満・トラブル・手続きのような言い方では、公的機関や解説側にも候補の枠があります。条件を足すと候補が入れ替わる件は記事71で扱いました。

過去の記事の訂正

記事30で候補のグループを「クエリ単位」と読みましたが、今回64グループすべてにドメイン名が入っていたので、グループの単位はドメインです。記事30の「クエリごとに候補が並ぶ」という説明は誤りでした。順位の話も、クエリ内の順位ではなくドメイングループ内の順位として読み直してください。

この観測から言えること/言えないこと

言えること:

  • 2026年9月11日のこの5会話で、比較メディア6社は候補に入り、引用は1件も取れなかった
  • 引用された9ドメインはすべてカード会社の公式か公的機関だった
  • 主引用12件はドメイングループの1〜2位からしか出ていない
  • 第三者メディアの候補40件のうち23件は、そのドメインから1枚しか入っていないグループだった
  • 比較を明示的に求めた質問でも、比較メディアは引用されなかった

言えないこと:

  • 1日・1アカウント・1カテゴリ・5会話の記録です。率として一般化できる標本数ではありません(引用があったのは16グループ)
  • クレジットカードは公式サイトが条件を網羅して書いているカテゴリです。公式の情報が薄い分野で同じ結果になるかは分かりません
  • モデルや日を変えたときの再現性は取れていません。同じ質問でも日をまたぐと候補が入れ替わることは記事71で観測しています
  • 比較メディアが検索流入やブランド認知の面で価値を失った、ということはこの観測からは言えません。言えるのは引用の取り合いの結果だけです

比較メディアが要らない、という話ではない

引用がゼロでも、比較メディアの役割が消えたわけではありません。分けて見るべきものが2つあります。

  • 回答を書くときに読まれるか(ゲーム2): このログでは読まれていません。引用は公式ドメインに集まりました
  • 名前を覚えられているか(ゲーム1): 候補リストは検索する前にできています。記事76では、モデルが検索前のクエリに d-card.jp と書いていました。2022年に移転して使われていないドメインで、いまのウェブを読んで作ったリストからは出てこない文字列です

モデルは学習した知識からブランドを並べています。その知識がどの文書に由来するかはログに出ないので、比較メディアの記事が寄与しているかどうかを、この観測で確かめることはできません(ここは推定です)。

ただし候補リストに入るかどうかの重みは大きく、Suganthanの調査では、リストに名前があるブランドは68.9%が最終回答に載り、検索で拾われただけのブランドは2.1%でした(記事61)。ブランド名が第三者の文脈でウェブに書かれ続けることは、この段で効く側の話です。

事業者から見ると、比較メディアへの掲載は「引用を取るための施策」ではなく「名前を第三者に書いてもらい、モデルの知識として残るための施策」に読み替える対象です。引用は自社の公式ページで取り、言及は第三者に書いてもらう、という分担になります。

メディアから見ると、引用されないことと価値が無いことは別です。ただしクリックで収益を得ているなら、言及の器としての価値は売上に変換されません。引用ゼロという観測は、この収益構造の話と切り分けて読む必要があります。

第三者メディアは何をすればいいか

Figure

比較・ランキング記事を持っているメディアの打ち手

やること

  • 公式サイトが書けない一次情報(自分で取った実測・検証・取材)を記事の中心に置く
  • 自社カテゴリの質問を数本投げ、候補一覧に入っているか・引用されているかを分けて記録する
  • 1つの意図につき主引用を狙うページを1枚決め、同じ意図の重複ページを増やさない
  • 候補一覧は速報版と最終版の両方を保存してから数える

やらなくていいこと

  • 公式サイトに書いてある条件(年会費・還元率)を並べ直しただけの記事を増やす
  • 候補一覧に自社が入っていることを、引用されている証拠として扱う
  • 同じ意図のランキング記事を量産してドメイン内の枚数を増やす
  • 1回の会話の結果だけで方針を決める
今回の観測から。2026年9月時点

事業者側の打ち手は逆向きです。比較メディア経由の送客に頼っているなら、そこに載せている条件を自社の公式ページ本文にも書き切る必要があります。引用の枠は公式に寄っており、比較メディアに書いてもらった条件は回答に運ばれていませんでした。

よくある質問

比較メディアはもうAI検索に載らないのですか

この観測で言えるのは、クレジットカードの質問5本では候補に入っても引用されなかった、ということだけです。カテゴリによっては公式サイトが条件を書いておらず、第三者の集計しか情報源が無い場合もあります。自分のカテゴリで実際に質問を投げ、候補一覧と引用を分けて数えるのが先です。

候補一覧はどうやって見るのですか

ブラウザの開発者ツールでNetworkタブを開き、質問を投げて回答が完走してから conversation のレスポンスJSONを保存します。候補URLは検索結果のグループの中に、引用は回答側の参照情報として入っています。検索直後の速報版と回答完成後の最終版の両方が記録されるので、両方を突き合わせないと引用元を取りこぼします。

同じドメインから多くのページを候補に入れれば有利ですか

今回の観測では、枚数の多いグループほど引用されていましたが、原因は枚数ではありませんでした。枚数が多いのは site: で指名検索されたドメインで、指名されれば十数件返り、されなければ1件しか入りません。枚数は結果であって、サイト側で動かせる変数ではありません。引用のあった16グループのうち15グループは引用1〜2件で、枚数を増やしても引用件数は増えていませんでした。

1日の観測で結論を出していいのですか

出していません。この記事は実数の記録で、率は書いていません。LLMのブランド可視性は1回の計測では安定しないことが報告されており(arXiv:2604.07585)、同じ質問を日を変えて繰り返す予定です。現時点で言えるのは、この1日の236候補・23引用の中に比較メディアが1件も無かった、という事実です。

Sources · 一次情報

この記事は一次情報をもとに作成し、公開前に自動検査を通しています。作成の手順と訂正の方針は運営者情報に記載しています。

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