SEO GEO Lab

SEO・GEO教科書 · Lesson 04

ロングテール設計:細かい質問を面で押さえる

検索の大半を占める細かいクエリを、1本ずつではなく面で押さえる設計です。掛け合わせの軸の決め方、Search Consoleから拾う手順、AI検索のクエリ ファンアウトで効く理由、薄いページの量産がスパムになる線引きまで扱います。

Level 1Lesson 04 / 1313

どの軸を掛け合わせて何ページ作るかを、薄い量産にならない範囲で自分で決められるようになる。

このレッスンで扱うこと

  • 検索需要の分布(少数の太いクエリと、多数の細かいクエリ)と、どちらから取るかの判断
  • 掛け合わせの軸(対象 × 条件 × 目的)でクエリ空間を面で埋めるページ設計
  • AIによる概要・AIモードの「クエリ ファンアウト」で、細かい質問に答えるページが候補になる理由
  • 薄いページの量産がスパムポリシーに当たる線引きと、それを越えないための条件

検索需要のかたち

検索されている語は、検索数の多い少数のクエリと、1件あたりは小さい膨大な数のクエリに分かれます。前者を狙うのが一般的なSEOのイメージですが、評価が積み上がっていないサイトが最初に取れるのは後者です。ここでは後者を「細かいクエリ」と呼び、それを1本ずつではなく面で押さえる設計を扱います。

太いクエリ細かいクエリ
「SEOとは」「GEO 対策」「robots.txt GPTBot 許可 書き方」
1本あたりの検索数多い少ない(数件〜数十件のこともある)
検索している人の状況幅がある。何を求めているか読み切れない具体的。何に困っているかがクエリに書いてある
競合十分な答えを持つ強いサイトが並んでいるそもそも誰も答えていないものが残っている
必要なサイト評価高い。後発が同じ答えを出しても選ばれにくい低い。答えの中身で決まりやすい
書ける内容総論。差がつきにくい自分の検証・実測・判断を書ける
この2分類は当サイトの整理です。Googleのドキュメントに「ロングテール」という区分はありません。判断の根拠にできるのは、検索する人の役に立つかどうかという基準のほうです。

後発のサイトが太いクエリで伸びない理由は、順位の仕組みが不利だからではありません。すでに十分な答えが並んでいる場所に、同じ答えを後から置いているからです。 Googleは、ユーザーの役に立つ独自の情報を持つコンテンツを評価すると説明しています。 細かいクエリには、その「独自の情報」を書ける余地がまだ残っています。[出典: ユーザー第一のコンテンツの作成]

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同じ労力を、どちらに割り当てるか

太いクエリに10本

総論を厚くする

  • 1本ごとに強い競合と正面から当たる
  • 書ける内容が他サイトと似る
  • 評価が積み上がるまで反応が出ない
  • 外れたときに何が悪かったか分からない

細かいクエリに10本

面を作る

  • 答えていないクエリを取りに行ける
  • 1本ごとに固有の情報を書ける
  • 数週間で表示回数の変化が出る
  • 当たった軸が分かり、次の10本を選べる
細かいクエリは1本あたりの流入が小さいため、群として合計で見ます。単発で成否を判断しないのが前提です。

掛け合わせの軸で面を作る

レッスン03では、作るページを1本ずつ決めました。 細かいクエリはページ数が増えるため、1本ずつ思いつくやり方では続きません。軸を決めて掛け合わせ、 そのうえで答えを持っていないマスを消すという順番で決めます。

問いこのサイトでの例
対象誰の、何についての話かWordPress / Next.js / Shopify、記事ページ / 一覧ページ
条件その人が置かれている状況・制約は何かインデックスされない / 順位が落ちた / AIに引用されない
目的何を達成したいのか原因を切り分けたい / 設定を書き換えたい / 効果を確認したい
3つの軸は当サイトの整理です。掛け合わせると「対象 × 条件 × 目的」のマスができ、1マスが1つの質問文に対応します。

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軸を決めてページを確定するまで

  1. 1

    固有の答えを出せる領域を1つ書く

    自分が実際に手を動かした範囲。ここが広すぎると、以降のマスがすべて他サイトの引き写しになる。

  2. 2

    その領域で読者が置かれている状況を並べる

    これが「条件」の軸。問い合わせ・Search Consoleのクエリ・自分がつまずいた箇所から拾う。

  3. 3

    状況ごとに達成したいことを並べる

    これが「目的」の軸。同じ状況でも、原因を知りたいのか、直したいのかで必要なページは別になる。

  4. 4

    掛け合わせて一覧にする

    この時点ではマスが多すぎて構わない。ここまでは機械的な作業。

  5. 5

    「他のページには書けない情報」が1つも書けないマスを消す

    この工程が設計の本体。書けない理由が「まだ調べていないだけ」なら残し、「調べても他と同じ」なら消す。

  6. 6

    残ったマスを、1マス1ページとして着手順に並べる

    答えを持っている順に着手する。網羅を目的にして順番を決めない。

軸を掛け合わせると、必ず「同じ答えになる2つのマス」が出てきます。これは分けずに1ページへまとめます。 すでに別々のURLで公開してしまっている場合は、残すURLへ301リダイレクトするか、canonicalで代表URLを指定します。[出典: 重複した URL を統合する]

AI検索で細かいページが効く理由

細かい粒度でページを作ることは、SEOの都合だけの話ではありません。生成AIの検索は、1つの質問をそのまま検索するのではなく、複数の小さな検索に分解してから回答を組み立てます。分解された後の単位と、ページの粒度が一致しているかどうかが効いてきます。

Googleは、AIによる概要とAIモードが「クエリ ファンアウト」と呼ぶ手法を使う場合があると説明しています。 これは、ユーザーの1つの質問を関連する複数のサブトピックに分解して検索を実行し、その結果をもとに回答を作る手法です。 つまり、利用者が入力した質問そのものに一致するページだけでなく、分解された個々のサブトピックに答えているページも参照元の候補になります[出典: AI 機能とウェブサイト]

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1つの質問が分解され、別々のページに当たる

利用者の質問

「Next.jsのサイトがAI検索に出ないのはなぜ?」

分解されたサブトピック

AIクローラーの許可 / サーバーが返すHTMLに本文があるか / 見出しと直答の書き方 / 確認する方法

各サブトピックに答えているページ

1マス1ページで作ってあれば、それぞれが別々に候補になる

4つのサブトピックを1本の総論ページにまとめていると、どのサブトピックに対しても該当箇所が弱くなる

分解のされ方は質問ごとに変わります。狙って一致させられるものではなく、粒度をそろえておくことで当たる確率を上げる、という性質のものです。

ここで注意が必要なのは、ファンアウトを狙って質問文だけを並べたページを作っても意味がないことです。 Googleは、AIによる概要やAIモードに表示されるための追加要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もないと明記しています。 効くのは粒度をそろえることであって、AI向けの特別な書式ではありません。抜き出されやすい本文の書き方はレッスン06で扱います。[出典: AI 機能とウェブサイト]

量産の一線

面で埋める設計は、一歩間違えると「薄いページの量産」になります。ここはGoogleが明文でポリシーを持っている領域なので、線引きを先に確認しておきます。

Googleはスパムに関するポリシーで「スケーリングされたコンテンツの不正使用」を挙げ、検索結果のランキング操作を主な目的として多数のページを生成する行為を対象としています。 対象になるかどうかは生成方法では決まりません。人が書いたか、自動化したか、その組み合わせかは問われず、 目的と中身で判断されます。[出典: スパムに関するポリシー]

AIで書くこと自体も違反ではありません。Googleは、コンテンツの制作方法ではなく品質で評価すると説明しています。 分かれ目は、そのページに一次情報・実際の検証・固有の判断が入っているかどうかで、 これは人が書いてもAIが書いても同じ基準です。[出典: AI 生成コンテンツに対する方針]

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面で埋めるときの線引き

やること

  • 1マスにつき、自分だけが書ける情報を1つ以上入れる
  • 答えを持っていないマスは、埋めずに空けておく
  • 同じ答えになるマスは1ページに統合する
  • 作ったページ群を束ねる一覧ページを用意する
  • 公開後にクエリを見て、当たった軸を次の10本に反映する

やらなくていいこと

  • 語を入れ替えただけのページを機械的に作る
  • 検索需要があるという理由だけでページを増やす
  • 網羅の見た目をそろえるために内容の薄いページで穴を埋める
  • 1クエリ1ページを徹底して、同じ答えのページを分割する
  • ページ数そのものを進捗の指標にする
「やらないこと」はいずれも、ページ数を増やす一方で1ページあたりの固有の情報を減らす操作です。

尾を拾う手順

軸を頭の中で作るより、すでにGoogleが自分のサイトに割り当てているクエリから拾うほうが早く当たります。表示回数の多い順ではなく、少ない側を見るのがこのレッスンの手順です。

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Search Consoleから細かいクエリを拾う

  1. 1

    検索パフォーマンスを開き、期間を直近6か月にする

    細かいクエリは母数が小さいため、3か月では判断できないことが多い。

  2. 2

    クエリタブを表示回数の少ない側から見る

    表示回数が1〜10のクエリは、Googleが自分のサイトを関連ありと判断しつつ、答えが弱いと見ている箇所。

  3. 3

    50件ほど書き出し、対象・条件・目的の3軸に分類する

    分類したときに集まる場所が、自分のサイトが実際に評価されている領域。

  4. 4

    既存ページで答えられるものは、そのページに節を足す

    新規に作るより速い。見出しを追加し、その質問に短く直答する段落を置く。

  5. 5

    既存ページでは答えられないものだけ、新規に作る

    ここで初めてページが増える。増やす前に、既存ページで拾い切ったかを必ず確認する。

  6. 6

    4週間後に同じクエリの表示回数とクリック数を見る

    個別ページではなく、その軸に属するページ群の合計で見る。

検索パフォーマンスの各指標の定義はSearch Consoleヘルプにあります。[出典: 検索パフォーマンス レポート]

データがまだ無いサイトでは、この手順は使えません。その場合は前半の「掛け合わせの軸」で10マス作り、 公開してデータが出てからこの手順に切り替えます。

最後に、面で作ったページは、束ねないと群になりません。 個別ページが単発で並んでいるだけでは、テーマとしての評価が積み上がらず、読者も次のページに移動できません。 一覧ページ(ハブ)を置き、そこから各ページへ、各ページから一覧へ戻す内部リンクを張るところまでが必要です。 その設計はレッスン07で扱います。 効果の確認はレッスン10です。

到達チェックリスト

次の項目を自分のサイトで確認できたら、このレッスンは終わりです。1つでも「まだ」がある場合は、次のレッスンに進む前にそこを埋めてください。

  • 自分のサイトの主要テーマについて、掛け合わせの軸を2つ以上書き出した
  • その軸で作れるページを一覧にし、実際に固有の答えを持っているものだけに絞り込んだ
  • Search Consoleで表示回数の少ないクエリを50件抽出し、対応ページの有無を確認した
  • 各ページについて「他のページには書けない情報」を1つずつ挙げられる
  • 作ったページ群を束ねる一覧ページ(ハブ)と、そこへの内部リンクを決めた

よくある質問

ロングテールSEOはGoogleの公式用語ですか

公式用語ではありません。Googleのドキュメントに「ロングテール」という区分はなく、これは検索需要の分布を説明するために業界で使われてきた言い方です。Googleが公式に述べているのは、ユーザーの役に立つコンテンツを作ること、そしてAIによる概要とAIモードが1つの質問を複数のサブトピックに分解する「クエリ ファンアウト」という手法を使う場合があることです。ロングテール設計は、この2つに沿ってページの粒度を決めるための、当サイトの整理だと考えてください。

ページ数は多いほうが有利ですか

数そのものは評価されません。Googleはスパムに関するポリシーで「スケーリングされたコンテンツの不正使用」を挙げており、検索結果のランキング操作を主な目的として多数のページを生成する行為を対象としています。判断されるのは生成方法ではなく目的と中身なので、1ページごとに他では得られない情報があるかどうかが線引きになります。答えを持っていない軸まで機械的に掛け合わせた時点で、この線を越えます。

AIで大量に記事を作るのは違反になりますか

AIを使うこと自体は違反ではありません。Googleは、コンテンツの制作方法ではなく品質で評価すると説明しており、自動化を理由に順位を下げるとは述べていません。違反になるのは、検索順位の操作を主な目的として量産する場合です。実務上の分かれ目は、そのページに一次情報・実際の検証・固有の判断が入っているかどうかで、これは人が書いてもAIが書いても同じ基準です。

細かいクエリは1ページあたりの流入が少なすぎませんか

1本単位で見ると少ないのが正常です。ロングテールは、1本の流入ではなく群としての合計と、意図の明確さで評価します。細かいクエリほど利用者の状況が具体的なため、読了率や次の行動につながりやすくなります。ただし、単発のページが並んでいるだけでは群になりません。一覧ページで束ね、内部リンクでつなぐところまでがこのレッスンの範囲です。

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